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さよならソルシエ〜配信を見て〜

色々なものが書きかけなんですけど、配信を見たら書こうと決めていたので。

 

さよならソルシエ」再演、3月にシアター1010で公演されたものです。

19世紀末パリ、後の天才画家、フィンセント・ファン・ゴッホとその弟テオドルス・ファン・ゴッホの兄弟の愛と嫉妬と絆と宿命の物語。

 

この公演の特長は、何と言ってもピアノ一本と声のみで表現されるところ。あと照明か。それがとても美しい空間を生み出している。そこに良知さんと平野さんの歌声がめちゃめちゃ映えるんですね。本当に絵画のような空間。ピアノ一本で緊張感だったり、街の喧騒だったり全てを表現しているから本当に凄い。

 

再演、劇場と配信両方見て改めて思いましたが、兄弟やばい。言うならば、これは兄弟2人の物語であり、2人の物語でしかない。頭のいい画商の弟と、天才的な才能を持ちながら、絵のこと以外はからきしな兄。登場人物はいっぱいいるんですけどね。2人だけの世界で完全に閉じてるんですよ。フィンもテオもお互いの事しか頭に無いんだろうなって感じ。 フィンが呼ぶのはテオの名前だけだし、テオの事と絵の事しか話さないから顕著に表れている。テオも新たな芸術をって若手画家達と絡むけれど、兄のフィンの絵を世界に知らしめるためってだけな気がしました。

フィンは本当に純粋で絵が好きで、テオのことも弟として、可愛くて大好きなんだろうな〜って感じ。だからテオの方がきっと拗らせてる。テオも画家になりたくて、でもフィンの才能に恋をして諦めて、だから兄の才能に嫉妬してて、憎くて、でもそれ以上に愛していて。フィン自体の事もお兄ちゃんとして大好きだし、憧れてる。「あんたと一緒にいたことは、俺の人生の1番の幸福で1番の不幸だったと思う」「兄さんは俺の人生の全てだった」ってセリフにテオの感情の全てがこもっているような気がして。色々な感情が渦巻いていて、テオの愛というか執着が重い。でもフィンは軽々と受け止めてしまいそうなので、やはり2人で一つ、2人で1人の画家なんだよなぁと。だからこそフィンが死んで、壊れてしまった時のテオがとても痛々しい。毎回あそこで大泣きします。でもそこを救うのがまたフィンの愛だったりするんですよね…テオ、手をって。君のいう通り生きるよって。「神様が与えてくれたギフトは、君だったんじゃないかな」「世界はいつだって信じることから始まるんだ」テオに生きる意味を与えるのはいつだってフィンなんですよ。

史実の解説本に「フィンはテオに縛られていて、テオはフィンに縛られている」って書かれる兄弟いかがです??最高です。

圧倒的兄弟愛のお話でした。生で観られて良かった。GyaOストアで配信中なので頼むから観てください。そして円盤をください。